「心の糧」は、以前ラジオで放送した内容を、朗読を聞きながら文章でお読み頂けるコーナーです。

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坪井木の実さんの朗読で今日のお話が(約5分間)お聞きになれます。

旅立ち

湯川 千恵子

今日の心の糧イメージ

 去年の秋、私の所属教会で4年ぶりにバザーが開かれた。コロナ禍で閉じていた信徒間と外国人信徒との交友を豊かにしようと、バザーのテーマは「広げよう私たちの輪、お隣と世界と」だった。

 ベトナム、フイリッピン、タンザニアの民芸品店も並び、日曜学校の子どもと一緒に自国の歌や踊りを披露した。「名古屋ベトナム人・カトリック共同体」と印刷したTシャツを着て揚げ物を売る若い男女は、職を求めて来日した技能実習生や留学生。コロナ禍で失職して絶望したが毎月、ベトナム語のミサに与り、生きる力を得てそれが次々と繋がり、未信者も含めて東海地方4県から200人も集まる団体になって、このバザーの応援に来たのだった。

 彼らの心の支えの神父様も実は40年程前、ベトナム戦争後にボートピープルで日本にきたベトナム人。当初色んな工場で働いたが、劣悪な環境と差別・いじめで苦しんだ。後に寛容な社長と出会い、夜間学校に通うことができた。そこで自分も人の心の拠り所となろうと、努力の末、神父となり、日本国籍も取得された。在日外国人のために様々な分野で幅広く応援されている。

 昨年、我が教会に着任され、外国人信者にバザー参加を呼びかけて国籍も人種も生活文化も異なる私たちが「多文化共生」の未来を先取りしたような国際色豊かなバザーとなった。

 Tシャツの一団がベトナムの歌やダンスを始めると、近隣の人達も神父様も皆ニコニコ手拍子を打って歌い、喜び、飛び入りで踊った。

 その情景は愛と真理の救い主イエス様が目指す神の国が今、目の前に小さいながら広がっている様に思えて私の胸が熱くなった。

 混沌として不安な未来に明るい希望の光を予感して励まされた教会バザーだった。