私の夫が「千の風になって」という写真詩集とCDシングルを出してから、1年が経ちました。この間に、絵本や、DVDなども発売されました。さらに日本中から寄せられたお便りを元に「千の風にいやされて」というルポルタージュも出版され、「千の風・基金」も作られました。この基金は、命を守る社会貢献活動を応援することになっています。
わずか1年の間に様々に形を変えた「千の風」は、そもそも私たち夫婦の友人川上桂子さんを追悼するために作られました。
川上さん夫婦は、夫、新井満のふるさと新潟の幼馴染です。妻の桂子さんは、三人の子供の母親でした。忙しい主婦業のかたわら、有機無農薬野菜の生産を応援したり、学校給食をよくする運動、水道水に有害物質が入らないようにする運動、原子力発電所建設に反対する運動、命の電話相談員になったり、命を守るために積極的に行動する社会貢献活動のリーダーでした。いつも自分のことより、世の中のために働きました。脳腫瘍で自分の余命を知ってからも、運動の先頭に立ちました。
川上桂子さんは、9年前脳腫瘍で亡くなりました。48年という短い生涯でした。しかし、桂子さんは今でもひとびとの心の中に生き続けています。そればかりではありません。桂子さんは、「千の風になって」という詩や歌によって死後もますます知る人が増えているのです。
桂子さんは狭き門をくぐったのだと思います。あるフランスの画家は言いました。
「死者を死せりと思うな。生者ある限り死者は生けり」
すなわち桂子さんは狭き門をくぐり、千の風になることによって永遠の命を得たのではないでしょうか。
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