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暗いと不平を言うよりもすすんであかりをつけましょう
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幸福への道

ハヤット神父


幸福への道

鏡の中の人

 その人は、分厚い眼鏡をかけていました。強い近眼だとすぐにわかります。彼がデパートの出口の方へ歩いて行くと鏡がありました。その鏡の中に自分の姿が映っていたのですが、彼はほかの人だと思いました。

 そのまま前へ歩いて行くと、その人が近づいて来ましたので、彼は邪魔にならないように横へよけました。しかし、相手の人も同じように横へよけます。彼が再び前へ歩き出すと、その人もまた彼の方へ近づいて来ます。彼はもう一度横へよけましたが、相手もまた横へよけました。このころになると、店の中にいる人の視線は彼に向けられていました。みんなは、どう言えばよいのか、何をすればよいのかわからず、黙って見ています。彼が三度目に出口の方へ向かった時、鏡に映る自分の顔がわかるぐらい近づきました。

 「おや、これは僕だ!」と彼は大声で言うと、鏡に向かって深く頭を下げ、機嫌良く挨拶をしました。「やあ、おやじさん、また会えて嬉しいですね」店中に明るい笑いが爆発しました。彼が笑いながら出ていったとき、一人のお客さんがつぶやきました。「まったく偉い人だな!」

 この人が持っていたのは、自分ではどうにもできない事柄を受け入れ、それに打ち勝つ勇気です。彼の視力は弱ってきていますが、彼にはどうしようもないことです。しかし、自分のおかれた立場で朗らかに振舞うことはできました。

 彼が持っていた種類の勇気は、私たちみんなに必要なものであります。私たちは、一生の間で、自分の力ではどうにもできない困難に出会うことがあります。そんな時、苦しさに負けたり自暴自棄に陥ったり、あるいは愚痴を言って時間を費やしたりして、結局不幸になったりします。

 しかし、鏡の中の自分に挨拶したこの人のように、朗らかに振舞うこともできるのです。もし、勇気があれば、大変な苦労のただ中でも、ユーモアを持ち続けられることでしょう。そして、トゲに囲まれた中でさえ、幸福の真っ赤なバラを見つけることができるに違いないのです。

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